【アルバム】PIT GOb/REBORN D.O逮捕に関連して聞いてほしい1枚
もうすでに知ってる方も多いかと思われる、練馬ザファッカーおよび雷家族のD.Oが2017年の大麻密輸容疑で逮捕されたニュースを先日見た。
日本の法律のもとにおいては、アーティストおよびレーベルには逮捕されても作品を出す自由はあるし、メジャーレーベルには逮捕されたアーティストの作品をお蔵入りさせる自由もある。
判断というものは各々がこの先どうすれば得になるかということを考えて判断するということで、”在り方”ということについては特にいうまい。
こと”在り方”について熱中すると書くことが空転してしまうことが多く(でも結構書きたい)、アーティストのアルバムであったり曲であったりというものにただ向き合ってみたい。
今回ご紹介はD.Oと同じく練馬ザファッカーのPIT GOb(bだけ小文字なの大事)の2010年発売のアルバム、REBORN。
括目してみよ、REBORMということで生まれ変わったPIT GObが卵から孵化した姿を。ルイヴィトンのパンツをはいた半裸の男性が腕を組みこちらを見つめている。ある種の生き物は卵から孵化して最初に動いたものを親だと認識するという知識があると、緊張感走るジャケである。
PIT GObのアルバムということだが、下剋上NYCのDJ MUNARIの全曲プロデュースのダブルネームアルバムといったようなものだ。
こちらがリードトラック
このアルバムの中にある、tr16.Letter to D.O feat D.Oがやはりこのタイミングで聞くと響く。PIT GObが同じ練馬ザファッカーのメンバーであり、一足先に世に出たD.Oへの自身が感じた劣等感や、2009年の逮捕などを経た思いをラップにしている。
D.Oといえば、そのトレードマークのひとつとして三つ編みがあるが、どんなに誰がSNSで「ムショで三つ編み刈られるのいやだー」と憂いていようと、PIT GObのリリックほど三つ編みについて感傷的になれるものはない。
傷んだ三つ編みほどいて ゆっくり休みな
いつになったら その三つ編み編みおわんだクソッたれ!
と、三つ編みを業や背負ったもののメタファーのように歌い上げる。そして、呼応するようにD.O
関わりたくねー 関わりたくねー 口に出さないがみんな思ってるぜ
と歌い、逮捕されたあとの腫物のように扱われる孤独を感じさせる。
今年の逮捕に関して、当時と状況も違うためただでは転ばないD.O自身の演出にしようとするものをスピーディーさとともにさすがとも感じるが、この曲を聞いてみて色々感じてほしいわけです。おすすめ。
加えてこのアルバムでオススメの曲が、tr8.地獄のRESERVATION。ストーリーテリング形式で、PV撮影費用を捻出したいPIT GObがDJ MUNARIに金を貸してほしいと相談することから始まり、いい仕事があると美味い話に乗っかると、人殺しをさせられそうになるという曲。途中、DJ MUNARIに電話して
「もうやるしかないっしょ」
といったやり取りをするのがどこかZEEBRA/罠 feat. OJ&STを彷彿させる。というか罠好きにオススメ。
殺しをやるかやめるかということの葛藤が、天使と悪魔が殴り合うと表現するのが昔のアニメくらいでしか見ないような使い古された表現ながら、切羽詰まった感じに妙にマッチして好き。
このアルバム久しぶりに聞くとスキットやイントロでの語りが多めなのもZEEBRAのセカンドアルバムあたりの雰囲気を思いだすなと。