Google 対 日本のヒップホップ
日々人々がインターネットで検索する情報を独占しマネタイズ、関連サービスの展開などで天下を手中に収めたといっても過言ではないGoogle様。このブログのような日本のヒップホップに関するたわごとを書き連ねるのにも、この情報というフィールドでのお上であるところのこの会社の影響のもとにある。
Google検索アルゴリズムのアップデート
世(ネット)にあふれるアフィリエイトを踏ませるためだけのデブリなウェブサイトを駆逐するためのアップデート、ペンギンアップデートとパンダアップデートが特に重要。
一時期SEO(検索したときの順位で一位になるための仁義なき戦い)では、被リンク数を増やすという手法が横行し意味のないサテライトサイトがあふれかえった。その被リンク合戦への対処がペンギンアップデート。
それに対し、良質な記事にのみ順位をあげるという対応をしたのがパンダアップデートである。パンダアップデートでは専門性が高く、裏付けのある記事を重要視、それを判断するのは熟読率や離脱率だとか、明確な基準は存在していないが専門家が内容を吟味するわけではなく、そういったものを判断するアルゴリズムが備わっているのだ。
Googleの検索アルゴリズムアップデートが日本のヒップホップにもたらしたもの
パンダアップデートが日本でも導入されたのが2012年、フリースタイルダンジョンを発端にしたMCバトルブームが2015年。この2015年以降ドバっとフリースタイルダンジョンに関係するMC,ラッパーたちの検索バリューが高まり、それに呼応するようにパンダアップデートに最適したアフィリエイトを踏ませるためだけの中身のない記事が目に付くようになった。
この2015年までの日本のヒップホップにかかわるような検索といえば、購入したCDの詳細やアーティストのブログなんかを見つけて理解を深めてみたり、ほかの日本語ラップ村の村民のわかるやつしかわからない言語で書かれた熱い思いやライブレポなんかを見たりしたといったことが主だった。
このごろはどうだ。MC漢(正式表記は漢 a.k.a. GAMIなんだけど、そう検索してる最近おおいでしょ)と検索してみれば、新宿に店をもっているということからおすすめの飲食店の話題や(abemaでそういう番組を持っているのもあるが)や、身長体重、結婚は?というような味のあるアウトローな人物、というか芸能人を見るような消費のされ方で1stアルバムにガツンとやられた自分と同じ感覚にいたるような情報にたどり着くのは難しい。あ、あとビーフ関連ね、みんなモメゴト好きよね。
このフリースタイルダンジョン以降の日本のヒップホップおよびラップに興味を持つ人々の入り方は、テレビで気になった芸能人を見て検索するという最近ではひろまりつつあるというスタイルに準じるものだ。MCバトルがにぎわってからのラッパー情報もまたキュレーションサイトの一過性の話題のひとつとして消費されるわけだが、Google的にも多数の興味に応じた作りになっているため順位をあげてくれるし、こうしてゴシップ的なものばかりを目にするようになるのである。みんな年収とか付き合ってる彼女とかしか気にしなくなる。
個人的にはフリースタイルダンジョンでMCバトルに興味を持った人に、ライブであったりヒップホップの作品に興味をもつことにつながらないと嘆くのは実はこの検索というものが大きいのではないかというのを考えている。味のある村民ブログは言いたいことが多岐にわたっていて不利。おまけに最近の検索は不要なワードを勝手に省いて結果を出す。本当に興味が絞らていると感じる。
ヒップホップに手を差し伸べていただいておりますウェブ関連企業のサイバーエージェント御中も、自身のメディアは検索では弱いんじゃないかと思う(そっちに力いれられても困る)。
そしていつものように別にヒップホップに興味持ってもらわなくても私自身損もしないし得もしないし、見てもらわなくてもブログ書くしどうでもいいかという結論ということにはなるんだけど、漢のビーフで検索したとき、ライブラ訴訟やKNZZの話題に埋もれて脂の乗り切った時期にDABOに噛みついたことやその意味なんかを考えたり感じたりするのが遠くなったのを思うと、少し寂しい気もする。